つい最近まではキャンプは夏休みにするものといったイメージが強かったですが、今や猛暑を避け少し肌寒さを感じる秋が、味覚も楽しく、焚き火も愛しいベストシーズンと言えるかもしれません。
そして、キャンプの夜の楽しみといえば見上げる夜空に流れ星や彗星に出会う幸運もまた格別です。
なんと今年の10月20日と21日は、1,350年ぶりと20,000年ぶりに周回して戻って来る彗星とオリオン座流星群が見られる時期が重なり、お天気さえ恵まれれば新月とも重なり絶好のめぐり合わせとなります。


「流れ星」は彗星が通過した後に地球の公転軌道上に残していったチリ群に年に1回突入することでそのチリが発光して流れ星になるもの。毎年8月のお盆の頃に見ることができる「ペルセウス座流星群」や、12月中旬にみられる「ふたご座流星群」などが有名です。

「彗星」は「ほうき星」とも呼ばれますが、太陽の周りを回る氷とチリでできた天体で、太陽に近づくと熱で氷が溶けガスやチリが放出され尾を引くように見える天体そのものです。76年周期で太陽に近づく「ハレー彗星」が有名ですが、3.3年周期の「エンケ彗星」や133年周期の「スイフト・タットル彗星」はペルセウス流星群の母天体として知られています。
そして、秋に見られる流星群が「オリオン座流星群」。
ハレー彗星が残していったチリの帯に地球が横切る際の天体ショーです。今年は10月21日に活動が最も活発となる極大を迎え、ちょうど新月と重なることから月の明かりに邪魔されることなく絶好の観測条件となります。見られる位置はオリオン座の赤色超巨星ベテルギウスの辺りから四方八方に放射状に飛び出すように見えます。活動のピークは真夜中から明け方と言われていますが、いつどの方向に流れるのかは予測不可能なので夜空が暗くて見晴らしの良い場所で、放射点を中心に空全体を眺めながら、可能なら寝転んでボォ〜と眺めているのが最良でしょう。

さらに今年は新しく発見された彗星も一緒に見ることができます。一つは今年1月に発見された「レモン彗星(C/2025 A6)」で、なんと10月21日に地球に最接近します。この彗星の周期は1,350年とされており、日没後の空に3等級程度の明るさで観測できる可能性があります。ガスを豊富に含み鮮やかな緑色に包まれた姿をしているとのことです。
そして、驚くべきことに先月発見されたばかりの「スワン彗星(C/2025 R2)」も10月20日に地球に最接近し、最大4等級程度の明るさで見られる可能性があります。この彗星の公転周期は20,000年以上とされており、なんと旧石器時代以来の再来となります。
彗星は流星群とは違って天体なので一瞬で消えることはなく、月や星と同じように何日間かをかけて観測ができるので関心ある方は双眼鏡を用意してじっくり探してみましょう。
10月20日または21日の夜、もし条件が揃えば南西の空、射手座付近にスワン彗星が観測でき、北西には、うしかい座付近に緑色に輝くレモン彗星が見えます。そして天空には最大1時間に20個の流星が彩る夢のような天体ショーを見ることができるかもしれません。

秋の夜長のキャンプ、今年は小さな焚き火で暖を取り、自然と一体となって夜空を眺めてみるのも一興ですね。
代表理事 松本邦夫