冬。
植物や動物たちが、身を小さく堅くして乗り越えようとする冬の寒さ。
池や湖の氷も厚みを増し、いよいよ寒さも本番。


日光の天然氷の切り出しも始まった、との話も聞こえてきます。

そして1月20日は「大寒」。
二十四節気の最後の当たるのが、「大寒」です。
江戸時代に書かれた『暦便覧』には、
「冷ゆることの至りて甚だしきことなればなり」とあり、冷気が極まり、1年の中でも一番寒い季節です。
その「寒」の漢字からイメージすること…、
「寒稽古」や「寒中水泳」など「厳しい」ことがイメージされます。
昔、趣味の登山でその厳しさを求めてコースを設定したことがありました。
その中でも印象に残っているコースは、北アルプス。焼岳から奥穂高岳の2泊3日の縦走です。
大学の友だち3人で出かけました。
初めて奥穂高岳に登ったとき、西に繋がるジャンダルムに「いつかはあのピークへ」と思っていました。
メインは、2日目の西穂高山荘から穂高岳山荘までのルートです。


西穂山荘を超えると奥穂高岳までは、険しい岩峰の連続でした。
鎖場の急な下降。岩場のトラバース。高感度のあるナイフエッジ。
約10時間を超える行程は緊張感の連続で圧倒的な厳しさ感じました。
でも、このコースをやり遂げた後は、満ち足りた思いがこみ上げてきたことを覚えています。
そして、厳しさを乗り越えたところにウエルネス、明日への活力が生み出されているように思います。
そこで思い出したことが「メディスンホイール」です。
アメリカの先住民族、インディアンの世界観や生き方が表現されている大切なシンボルだそうです。

黄色が示すのは東の方角で、太陽が昇ってくる色。
白が示す方角は南。南中する太陽の色。
黒が示す方角は西。日暮れは闇をもたらすから。
赤は北。太陽が見えない深夜の時間、赤は魂の色。自分の心の中で赤く燃える魂を表現しているのだそうです。
そして、この4つの方角や色は、人生の「ライフサイクル」や「朝昼夕夜」、「春夏秋冬」にも例えられるのだそうです。
今は冬。今日は「大寒」です。
メディスンホイールで見ると、方角は「北」。
生き物たちは、北から来る冷たく澄んだ風に身を清めながら耐えているのです。
色は「赤」。
今までの培ってきた体験や知識が魂に赤い火を燃やし続けているのかもしれません。
そして、春風に乗って「東」からやってくる新しい始まりの時間をじっと待っているのです。
厳しさを乗り越えた後に来る充足感を求めて。
暦の上でも立春に向けて、
「款冬華 (ふきのはなさく)」
フキノトウの花茎が雪を突き破り、顔をのぞかせようとしていること。

「水沢腹堅 (さわみずこおりつめる)」
沢が氷を厚くする季節。
この時期は1年で1番寒くその年の最低気温が記録されることも。
そのぶん、春に一歩近づく。

「鶏始乳 (にわとりはじめてとやにつく)」
生き物たちの中で、鶏がいち早く春を感じ、卵を産み落とす季節の到来を意味します。

と、冬の真っ只中といった様相ですが、降り積もった雪の下では、新しい植物が早くも芽生えているのです。
待ちかねた春はすぐそこまで来ています。
〈参考文献〉「七十二候の楽しみ」(世界文化社)、「自分を信じて生きる」(小学館)
〈余談〉ちょっと散歩したときに…




そして、森の中には…、

きっと野鳥が作った巣。雛は巣立っていったことでしょう。
この森のどこかに生きていると思うと、なんか幸せな気持ちになります。
昨年の立秋から始まったリレーエッセイ。
今回が24回目となり、二十四節気を無事にひと周りすることができました。
皆様、ありがとうございました。
