
今日は立夏、春が極まり野山に夏の気配が「立つ」頃で「立夏」(りっか)、暦のうえでは立秋の8月7日までが夏となります。
柔らかな新緑にあふれ、爽やかな風がそよぐ気持ちの良いこの季節、身近な自然に触れに出かけましょう!
1982年に日本で生まれ、今や英語圏でも「SHINRINYOKU」とそのまま通用する概念となった「森林浴」。森には、わたしたちを癒し健康に導く力があることが実証されています。

「森林セラピー」は、現地と都会で比較実験を行い、癒しの効果や病気の予防効果が科学的に認められたお墨付きの森で、資格を持った指導者が案内する森林浴のことを指し、森林セラピーを楽しめる「森林セラピー基地」は2006年から認定が始まり、現在では全国に63ヶ所に誕生しています。
森林セラピー基地では、温泉やヘルシーな郷土料理を楽しみながら、森林セラピーのプロである森林セラピーガイド・セラピストが森を通じて心とからだの健康を維持・増進していくための補助と助言を行います。
私も森林セラピーガイド・セラピストの資格を持っていますが、森林セラピー基地が栃木県にはありません。この季節、足を踏み入れただけで心がやすらぎ、気持ちの良い森にあふれる栃木ですが、比較対照実験により効果が実証された森での森林浴しか「森林セラピー®️」と名乗ることはできません。
しかし、そんな中、都心の大規模公園を使い、企業を対象に健康経営や職場のメンタルヘルス対策として、自然環境を活用した「森林セラピー®️Well-beingプログラム」の開発と実証実験が昨年2月から始まりました。



このプログラムは、森林セラピーガイドやセラピストの認定を行っている特定非営利法人森林セラピーソサエティが休眠預金等活用事業の「うつ病予防支援〜東京で働く人をうつにさせない〜」の実行団体として採択され、都市公園を活用した自分自身の心身を整えるセルフケアプログラムと、職場の人間関係をよりよくするチームケアプログラムの試行体験を夏にかけて行っています。
Well-beingプログラムは、小石川植物園、明治神宮、北の丸公園、林試の森公園の4つの植生豊かな大規模都市公園をベースにプログラム開発が行われており、私は小石川植物園のチームに所属しています。3月末に企業の方を対象にファシリテートを行い、参加された皆さんの表情がどんどんと柔らかくなり、チームケアの後半ではとても温かな空気感の中でメンバー相互の信頼感や安心感が広がっていく様子を目の当たりにしてこのプログラムの持つ力を感じました。
セルフケアは、通常行われる森林セラピーと大きな違いはありませんが、自分の今のストレス状態を知ることから始まり、五感を使って森の自然に触れ自分の感覚を開き、森の大地に横たわる森林安息により自然との一体感や自分自身の内面を受け止める時間を味わいます。



チームケアは、グループ単位で行うプログラムで、五感を使って自然に触れ自分の感覚を開いたうえで、ペアになってお互いの感覚の違いを認識するワークや、3人一組になって大切にしていることを語り聴きあうワーク、6人一組になって協力して課題をクリアして自分や他者の新たな可能性に気づくワークなどを通して、多様性を認め、協力し合う関係づくりをしようとするものです。
特にチームケアプログラムでは、開かれた自然環境の中で普段話すことができなかった自分の思いを自然な形で発露したり、職場では気が付かなかった同僚や上司の人間性を垣間見て親しみを感じたりと、プログラムの前後で十数名の団体の空気感が明らかに変化していく様子はとても新鮮なものでした。



このプログラムは現在、東京に勤務する企業の方を対象に研究開発をしている段階で詳細なプログラムを公にすることはできませんが、いずれ東京都以外の都市圏にある大規模公園や森でも一定の条件のもと実施することが検討されており、その時にはぜひ栃木においても森林セラピー®️プログラムが展開できるよう準備を進めていきたいと考えています。
さあ、今日から夏の始まり。まずは身近な新緑に出会いに森に出かけよう!
TWTA代表理事 松本邦夫
次回5月21日小満は、やまちゃんの担当です。お楽しみに!